汗の結晶?

急激な冷え込みが有り、お風邪などひいていませんか?

11月の兵庫県苦情委員会の事例其の一です。

「ドライクリーニングをしたら剥げて白くなった」との申請です。

これが汗の付着による物である事が、

1)クリーニング店が理解出来ない?

2)ウールで有る為処理出来ない?

3)顧客に説明しても理解してもらえない?

どの理由で持ち込まれたのか? 理解しがたいのですが!!

とりあえず、裏側から顕微鏡で覗いてみました。

はっきりと「塩の結晶」が確認出来ます。

顕微鏡写真として撮る事は滅多にないので、ここに載せてみました。

この写真こそが我々の「汗の結晶」ですよね!

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酸化防止剤による変色!

10月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例其の3です。

ポリエステル100%の表地の袖部分だけが変色しています。

クリーニング店で水洗い後、半年保管していた物です。

一見、Noxガスや、ドライ溶剤の残留による物に見えますが、

変色の状態、形状から、タンスの合板に直接触れていた部分のみが変色している様で有る事から、タンスの合板に使われている酸化防止剤(BHT)による変色で有ろうと思われます。

タンスやクローゼットなどに使用する合板から、使用している酸化防止剤が昇華しない様、対策を考えて頂きたいと思います。

メーカーさんよろしくお願いしますね!

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Yシャツの花糸喪失!

10月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例其の2です。

写真は、Yシャツのポケット部分です。柄が無くなっています。

上は、消失した花糸の先端を顕微鏡で撮影した物です。

表面と云うより、ポケットの裏側がこすれた事により花糸が摩擦切断された為、

クリーニングによる揉み作用で、糸が消失、表面の柄が無くなった物と考えられます。

素材表示が消えている為、推測になりますが、白地は綿100%で 柄糸(花糸)はレーヨン100%の様です。

生地の耐久性、製品の企画に問題のある商品に思えます。

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レオナルドのカットソー!

10月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例其の1です。

写真は高級ブランド「レオナルド」のカットソーです。

白抜きの部分に紺地の色移りがあります。

ドライクリーニングでの色移りから考えるところ、

1)ドライ溶剤中に水分が多すぎた?

2)着用中の汗や、雨などの水分により、色移りが生じていた?

等の原因が考えられます。

しかしながら、この「レオナルド」の商品は、元々染色が弱い製品です。

レオナルドの商品が日本に輸入され始めた当初、移染が多発し、現在TES会西日本の役員である、荻野氏がメーカーの染色工場まで視察に行かれたそうです。

メーカー曰く、「染色の美しさ、繊細さを楽しんで頂く商品です。移染が起こった場合は、メンテナンスで対応して下さい。」との事です。

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上の写真は、当店で移染処理した時の処理水です。(最初の写真の物ではありません)

ビックリするほど色が出てきているのが解ります。

この後、「色止め」処理を行います。

高額な商品ですから、取り次ぎ方式の安売り店ではなく、処理に慣れたクリーニング店に依頼する事をお勧めします。

又、汗で脇の下の移染が顕著な事からも、「汗取りパット」の使用も年間を通じてご利用下さい。特に、シルク製品は、シミや汗の黄変を取ろうとすると、柄の染料が先に取れてしまうほどデリケートな染色(?)で有る事を理解した上で着用して下さいね!

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カーテンの脆化!

9月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例2です。

カーテンの柄が無くなっているのが確認出来ます。

写真は顕微鏡で拡大したところです。

粗い編み目が残り、中側の細い糸が消失しています。

組成表示が無く「水洗い40℃」の洗濯機マークがあります。

粗い編み目は、「ポリエステル」、消失しているのは、「レーヨン」で有ると想像出来ます。

カーテン使用中に、日に当たる部分が脆化し、クリーニングする事により、繊維が無くなったと考えられます。レーヨンは昔「人絹」と呼ばれ、染色が綺麗で、絹に似た光沢と肌触りがありますが、再生繊維(木材パルプのセルロース部分をアルカリ処理して、薬品にて溶かしたものを繊維にした)の為、大変デリケートで時間と共に脆化しやすいのです。

購入5年との事ですが、カーテン生地としては、不適切な様に思います。

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逆汚染?

10月に入ってしまいましたが、9月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会事例其の一です。

先月訂正をしました、「ユキコハナイのカーディガン」が、劣悪なクリーニングによる逆汚染であると書きました。

9月も同じクリーニング店からの鑑定依頼で「白いアンゴラのコート」が出ていました。依頼は、背中にある傷の様な筋に対しての依頼でした。

が、白いコートが全体に縮んでおり、しかも逆汚染で、汚い白に成っていました。

今回は、「逆汚染」について説明したいと思います。

一般的にトライクリーニングは、洗濯物を(溶剤+ドライ用洗剤)で洗います。

その汚れた溶剤は、活性炭等のフィルターを通して循環させるか、又は、蒸留され、再利用されます。

水の様に透明な状態であるのがベストですが、この状態を保つ為には、非常にコストが掛かります。

この溶剤管理を怠ると、汚れがとけ込んだ状態に成ってきます。

見た目の汚れだけでなく、phも酸性になり、臭いも溶け込んでいます。(極端に汚れのひどい溶剤が皮膚に付くと溶剤火傷になり、非常に痛い思いをします)

汚れた溶剤で洗ったり、ドライソープ(洗剤)濃度が低い状態で洗ったりすると、溶剤中の汚れが飽和状態になり、洋服から取れた汚れが、再度洋服に戻ります。

此が「逆汚染」と言われる現象です。

クリーニング店の管理状態は各々です。

全てのクリーニング店が同じでないことを理解の上、クリーニング店を選択してくださいね。

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虫食いでは無い穴!

8月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例1です。

写真は、ニットセーターに開いた穴。

組成表示が有りません。

残念ながら顕微鏡写真を保存し忘れた為、皆さんにお見せする事が出来ません

<(_ _)>

顕微鏡を覗くと透明な糸が多く、一部の糸の先頭付近が茶色に変色していました。

透明でない糸の多くは、先頭が爆発した様なはじけた様に切れています。

この事から、化繊が多くを占めるニット構造になっており、タバコの灰等の小さな火が飛んできた為に、化繊が炭化、融解した為、強度不足になり、着用やクリーニングにより、周りの糸が引きちぎれた様に切れ、穴となったと考えられます。

只、クリーニングを行った為、炭化した部分が残って居らず、わずかに変色した先端部分が残っているだけだった為、顕微鏡での検査に大変時間が掛かりましたが、最近では珍しい事例でした。

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ユキコ ハナイ のカーディガン その後!

8月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例の前に、先月書き込んだ「ユキコ ハナイ」のカーディガンに付いての報告です。

メーカーに問い合わせたところ、「顔料染め」の製品ではない事が解りました。

「顔料染め」でないことから、考えられる原因は、ドライ溶剤の管理不足により、汚れた溶剤内の汚れが、商品に付着し汚れを落とすはずのドライクリーニングが、かえって汚れを付着させる 「逆汚染」となります。縁がピンクのままであり、逆汚染されていない部分が有る事が少し引っかかります???

現在、メーカに検査を依頼していますので、はっきりした原因が分かった時点で、報告します。

苦情委員会では、事故後の商品しか情報が無く、ほとんどの場合、切断しての検査や、薬品処理等、商品に手を加える事が承諾されていないのです。その為、目視や、顕微鏡等による、非破壊検査しか出来ません。

メーカーにデーターの提供を求める事が多くありますので、最終的な報告まで、2~3ヶ月を要する事もあります。

当blogでは、毎月の事例を記載しているため、時には確定前の、間違った情報を書き込む事もありますが、間違いが判明し次第、訂正を載せていきますので、よろしくお願いします。

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MAELLA コートの黄変?

7月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例3です。

写真は 「 MARELLA 」 のコートです。

表地:ナイロン70% ポリエステル30% 裏地 ナイロン100% 中綿ポリエステル100%

三喜商事が輸入している逸品物(少量仕入れ)です。

クリーニング後全体的に黄色くなったとの苦情です。

クリーニング店がメーカーに直接確認を依頼した回答は、

1)初めから黄色っぽい白だった可能性がある。生地見本も、データーも無く確認不可。

2)ビニール袋に使用されている酸化防止剤が昇華して応変した。

3)残留ソープが長時間の密封状態で昇華して黄変した。

上記3種類の可能性があるが特定不可能、との返事があったそうです。

まず 2)の酸化防止剤は以前のブログを参照して頂ければ解りますが、レモンイエローの特殊な色になるのが特徴ですので、除外出来ます。

3)の残留ソープ(洗剤)による変色も、斑になるのが特徴で、色味も違いますので、除外出来ます。

残るは1)のみですが、約6万円の高額品にもかかわらず、データーが残っていないというのはひどい話です。

第4の原因として考えられるのは、ナイロンの経時劣化による黄変です。

ナイロンは、時間と共に応変していく特徴を持った繊維です。只、その時間には個体差があり2~3年で変化する物や7~10年掛かる物もあります。

今回の事例では 1)又は4)のどちらかであろうと考えられます。

以上の事から、クリーニングによる事故では無い様です。

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ユキコ ハナイ のカーディガン

 

7月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例2です。

写真は 「ユキコ ハナイ」のウールのカーディガンです。

見た目はピンクとベージュの2色使いに見えます。

しかし、本当は全体がピンクのカーディガンだったそうです。

これだけ一気に脱色している事から、顔料染めの為、ドライクリーニングにより、

バインダーが剥がれ赤みが無くなった為と推測しています。

只、購入から2~3年経過しているとの申請の為、今まで一度もドライクリーニングされなかったのか?、なぜ今までのドライクリーニングで脱色しなかったのか?ちょっと不思議です。

顔料染めは、ほんとに困りものです。コストが安く、発色が綺麗な為、最近増える傾向です。

一般的にメーカーは、石油系のドライクリーニングならば脱色しないと云いますが、

ほとんどは、ドライクリーニングで、確実に綺麗に脱色してしまいます。

つまり油性のシミが付いたとき、染み抜きする事すら出来ないのです。

特にニットの顔料染めは見極めが付きにくく、脱色事故は避けがたいのです。

現在メーカーに調査依頼中です。

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