副素材に問題有り!

2月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例1です。

写真はオーダーのシルクアンサンブルワンピースのジャケット部です。

襟にアイロンをかけた事により、縮が出来ました。

さわってみると、襟の縁に副素材が使われているのが解りました。

襟の縁を解いてみると、写真の様なナイロン素材のワイヤーが入っていました。

このナイロン素材ワイヤーがアイロンの熱により縮んだ事により、襟全体が縮んだ様に見えた事が解ります。

この事から、テーラーの副素材の選択ミスが原因である事が解ります。

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カシミヤのコートに猫のおしっこ!

今回は苦情委員会の事例ではありません!

先日、愛猫におしっこされてしまったと云う、黒いカシミヤのコートが持ち込まれました。

確かに、猫のおしっこ独特の強い臭いが有るのですが、黒い色の為、シミ自体は見えませんでした。

臭いは、感じ方が個々に違いますので、どこまで取れているかは、お客様の感覚で変わってくる事を了承の上、受付させて頂きました。

本来、カシミヤのコートはドライクリーニングするのですが、おしっこは、水性汚れに当たる為、ウエット(水処理)で行い、ヒノキチオール加工(抗菌、消臭)を施しました。

猫アレルギーのある私でも、臭いを感じないくらいに成り、お客様にも喜んで頂きました。

今回、黒い色が幸いしましたが、おしっこの黄色いシミは、時間が経つと、取れなくなります。

人間のおしっこでも同じ事!

時間が経つと、染み抜きをしても完全に取れなくなります。

黄色い色素に、補色である紫色を加え、目立ちにくくする事は出来ますが!

早めの処理をお勧めします。

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芯地の接着不良!

1月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例3です。

写真は背広の上着です。

身頃がぶくぶくと浮いています。

芯地の接着不良が原因です。

しかし、メーカーは、「国産の芯地を使用し、自社工場でのプレスによる加工を行っているので、接着不良はあり得ない。他の苦情は無い。水洗いによる縮が原因である。」と云います。

確かに、襟心の縮は確認出来ます。しかし、汗による場合や、部分的な汗処理による縮も考えられます。

只、ブクツキの状態が、芯地の縮ではなく「剥離後の再付着」による物である事から、芯地の接着不良と判断出来ます。

100点のうち99点が正常でも、1点の不良品が出来る可能性があるにもかかわらず、メーカーはよく「他に苦情がないから商品に問題が無い」と云ってきます。

一般のクリーニング店や、消費者には通用しても、我々TES(繊維製品品質管理者)には通用しません。現在、商品に当方の鑑定書を付け、メーカーに再度確認を依頼しています。誠意のある対応を望みたい物です。

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シルク製品はデリケートです!

1月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例2です。

写真は、経糸ポリエステル100% 偉糸シルク100%のピンクのコートの一部です。

袖口や、脇、折り返しの生地が厚く成っている部分の表面、等、着用の擦れが起こりやすい所に集中して破れが発生しています。

シルクは、ポリエステルに比べ、非常にデリケートな繊維です。

その為、ポリエステルは変化無く、シルクの糸のみが擦れ切れたため、クリーニングする事により顕著化した物と考えられます。

デリケートな繊維で作られた洋服は、着用にも気を遣ってあげて下さいね!

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色違い?

1月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例1です。

写真は キュプラ57% コットン39% ポリウレタン4%のパンツスーツです。

ジャケットは白、パンツはパステルグリーンです。

お客様は、上下とも白であったとの苦情です。

受付時、店員は色の違いに気が付いていましたが、色違いの組み合わせと考え、

お客様に確認していなかった為、問題化しました。

上下同時にドライクリーニングされており、パンツだけが斑無く綺麗に変色する事は一般的に考えられません。

メーカーに問い合わせたところ、パステルグリーンの製品は製造していないとの回答です。

しかし、ケアラベルの製造番号が、ジャケットにはちゃんと記載が有りましたが、パンツには何かの識別を表す判子が押されているだけでした。

このパステルグリーンのパンツは、一般に販売されていないサンプル品ではないか?と考えています。

現在、メーカーに送って、サンプル品の可能性を確認中です。

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瞬間接着剤にご注意下さい!

兵庫県クリーニング組合苦情委員会12月の事例は、特に変わった物は無かったので

国民生活センターの方との会話の中で、気になる話が有りましたので、代わりに書き込みたいと思います。

( http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20081016_1.pdf )の記事に関係していると思われますが、瞬間接着剤を使って つけ爪 を付ける方も多いそうですね?

その時に、誤ってパンツやスカートに瞬間接着剤を落としてしまい、洋服にシミを付けてしまうだけではなく、火傷をする事故が多発しているそうです。

なぜ、「瞬間接着剤で火傷?」 と思われると思いますが。瞬間接着剤は、空気中の湿気と反応して急激に硬化する「シアノアクリレート」という物質が主成分だそうです。

この急激に硬化する時に「硬化反応熱」と云うのだそうですが、特に化学繊維に染み込むと激しく反応し、100度を超える高温となり、火傷を負うそうです。

アクリルやアセテーテート等の繊維に付いた場合を除き、取る事は可能です。

揉んだりすると、繊維が折れ、割れる事により、破れる事もありますので、早めにクリーニング店にご相談下さい。

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髭による擦り切れ!

11月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例其の5です。

写真は、シャツの襟です。左右の前が擦れて破れかけています。

「クリーニングやプレスによる物ではないか?」との苦情です。

髭が濃い方によく起きる現象で、生地を織っている糸が非常に甘織りで有り太い為、髭がサンドペーパーの役割をして、生地を破損したと思われます。

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暖簾の破損 !

11月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例其の4です。

写真は、麻100%の暖簾です。

「クリーニング後、使用しようとしたら、点々と穴が開いた様に破損している」との苦情です。

初めは、麻の経時劣化による破損の様に見えましたが、顕微鏡写真により虫食いによる穴である事が解りました。

只、写真以外にも沢山の穴があり、穴の形状や大きさ等が、一般的な穴あきとは著しく違う事や、素材が麻であるにも関わらず、ドライクリーニングしかされていない事から、汚れが採りきれず残留した為、ゴキブリやアブラムシによる、虫食いであると考えられます。

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虫食いではない穴-2 !!

11月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例其の3です。

写真は、リヨセル60% 綿40%のワンピースです。

「染み抜きの失敗による穴ではないか?」との鑑定依頼です。

 

穴の部分を顕微鏡で検査すると、繊維の先端部分が炭化しています。

穴の形状も鑑みると、染み抜きの失敗による物ではなく、着用中のタバコの火などによる焼け焦げによる穴あきであると鑑定出来ます。

この事例は、以前にも一度紹介しましたが、顕微鏡写真を取り忘れていた為、お見せ出来ず、この度は忘れず持ち帰ってきました。

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染料による脆化!

11月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例其の二です。

写真は浴衣の一部です。

赤い花びらの部分のみ破れており、脇の紺色の部分で破れが止まっています。

染色に、硫化染料が使用された為と見られます。

この硫化染料は、安価で、しっかりと染色される為重宝される染料ですが、しっかりとソーピング(濯ぎ)をしないといけません。

ソーピング不足になると、時間と共に余分な染料が分解していき硫化(強い酸性)していきます。その分解した染料自体が生地をボロボロにして行くのです。その為、近年日本においてはほとんど使用されなくなったそうです。しかし、中国では、ポピュラーな染料として、多用されていると聞きます。中国の染色工場では、下水処理施設が完備されていない工場がほとんどで、中国政府による下水の監視が近年厳しくなってきた為、ソーピングが不足する事が多く成って来ているとも聴いています。

黒や紺の濃色が多いと思っていましたが、今回の様な薄い赤は初めて見ました。

この事からも、クリーニング事故ではなく、製品不良であります。

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