先日のウール専門家の話の続です。
衣料品に対する国別の縫製に関する考え方の違いを述べて居られました。
日本はイギリスと同じで、本来 着物等は古くなると一旦解いて洗い張りをし、反物の状態に戻し、再度縫製をし、3代くらいまでは繰り返し使って来ました。イギリスでも、襟だけを換えて見たり、ハリスツイードの様に、古くなった洋服から糸を作り出し、織り上げて再生している物や、かたくずれし難い、しっかりとした縫製をしている物が主流でした。バーバリーのコート等は、一生物と云われた物でした。
反対に、フランスでは、お洒落にデザイン重視の作りで、クリーニングを考えず、着潰して終わりの感覚です。韓国もフランスに似た物作りだそうです。
お国柄がハッキリしていてナルホドと感心させられました。
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水で洗えるウール
昨日、兵庫県クリーニング組合の主催するセミナーに参加してきました。
繊維メーカーのOBで、ウールの専門家の方を迎えての物でした。
最近は、「水洗い可」のウール製品が増えてきましたが、こういった商品の多くが、樹脂で加工した物や、ウール特有のキューティクルを薬剤で溶かした物で有るという話の中で、気になる話をしていました。
それは、これら(ウォッシャブルウール)には、ウール特有の(湿気を蓄え、放出するという機能が無いのだ)と言うのです。この独特の機能がある為、登山や探検などの過酷な環境下が想定出来る場合は、ウール製品が身を守ってくれると云われています。
又、この樹脂加工は、ドライクリーニングにより剥がれ落ち、一度ドライクリーニングした後は水洗い出来なくなるそうです。多くの(ウォッシャブルウール)製品には、弱洗濯機のマークとドライクリーニングマークの両方が表示されていますが、此には問題点が多く、常にどちらか一方のクリーニング方法を採らなければならないのです。
「わざわざ(ウォッシャブルウール)のセーターを買うのであれば、元々水洗いの可能な安価なアクリルのセーターを買う方が良い。」と云う事でした。
それともう一つは、ウールは、温度に対してナイーブなのですが、ほとんどのクリーニング工場では、ウールニットのセーターも乾燥機を使用しています。此によりウール独特の、かさ高さ、風合いや手触りが台無しに成っていると嘆いておられました。
ご安心下さい、当店では創業以来、デリケートな衣料はすべて自然乾燥しています。
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商標登録出来ました
「商標登録証」 が送られてきました。
昨年の4月下旬、「オレンジドライ」を特許庁に商標登録申請をしていましたが、昨日無事登録と成ったのです。
この商標登録は、弁理士に頼んで申請するのが一般的なのですが、申請に必要な代金(特許印紙で支払う)と同額程度の手数料(一区分10万円程度)が必要です。
個人が申請するには、結構の出費となります。
自分でも申請出来るらしく、(http://www.jibunde.net/syouhyou/)の様に自分で申請した方のHPや、特許庁のHP(http://www.jpo.go.jp/indexj.htm)に詳しく書かれているのを見て挑戦してみました。
申請書の様式が非常にややこしく、フォントの大きさや、行間、左右の余白に至るまで、細かい規定がありますが、ワードや一太郎で簡単に作成出来ます。
又、解らない事が有れば、特許庁に問い合わせの電話をすれば、時間をかけて丁寧に教えてもくれます。
私の場合、初歩的なタイプミスをしたので、一度は「拒絶」(申請不受理)と成りましたが、「修正申告」を行い、はれて「受理」と成りました。その為、数ヶ月余分に時間が掛かりましたが、無事登録する事が出来ました。
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搬送用ポリカバー
先日、組合で話題に成った事です。
皆さんは、クリーニング店から持ち帰ったら、商品を入れている袋やカバーをどうしていますか?
取次店方式の大型店では、袋から出して保管する事をPRしている事が多いと聞いています。
これは、即日仕上げの為、コンベアー式に短時間処理するので、溶剤の残留(乾燥不足)や、仕上げ時のスチーム、熱が商品に残ったまま包装されている事が多い為だと思います。
一方で個人店では、、「そのまま保管していても大丈夫です」と言う店が多いのです。
商品が仕上がってから一晩は、ハンガー掛けのまま保存した状態で置いてから包装している事が多いからからだと思います。
乾燥不足の為の溶剤の残留はもってのほかで、お客様にもすぐに解ると思いますが、袋の中でガス化する事により変退色する事故もあります。
一方で、蒸気や熱の残留のまま包装すると、温度変化により露が袋に出来、シミやカビの原因に成るのです。
一般店、大型店関係なく問題になるのは、排気ガスや、暖房器具や、キッチンでのガスを使用する時に出るNoxガスによる変退色です。
最良の保管方法は、不織布カバーに代えて保管し、クローゼットの換気を良くして下さい。
時には、扇風機をクローゼットに向けて使用する事をお勧めします。
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ウォーキングクローゼット
先日、久しぶりにリフォーム番組を見ていて思い出した事です。
リフォーム流行の折り、洋服の収納に便利な大きなウォーキングクローゼットがどの番組にも登場していました。
このとき、いつも気になった事があります。
それは、大きな窓から太陽の光が入り、明るいウォーキングクローゼットが多く紹介されており、この明るいWクローゼットを見るたびに、暗い気持ちになったのです。
洋服にとって、太陽光は大敵なのですから!
蛍光灯でも同様に日焼けをします。
当店では、四半世紀以上前から店内の照明には大変神経を使っております。
全ての蛍光灯は、美術館や博物館で大切な展示物を変色から守る為に使われている、<美術館用紫外線吸収幕付き蛍光灯>を使用し、窓には、紫外線カットフィルムを張っているほどです。
この蛍光灯は、一般の蛍光灯に比べ2〜3倍くらいの値段ですが、皆さんもWクローゼット内には、是非使用し、窓には、雨戸や暗幕・紫外線カットフィルムの使用を是非とも考慮下さい。
太陽光や、蛍光灯による色焼け、変色、退色等の事故は、大変多いのです。
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色泣き
最近同類の事例が持ち込まれていた為、気になった事が有ります。
それは、色泣き。(淡色と濃色の生地を組み合わせた場合、濃色の色が淡色の処ににじみ出て来る事です。)
その中で、白地に黒を組み合わせた、数社の超高級ブランドの商品です。
原因としては、
1)染色堅牢度の不足(染色不良・染色後の洗浄不足・劣化による染料の溶出)
2)生地の選択間違い(綿と革の様に、異素材を組み合わせた為に洗えない)
3)クリーニング方法の不適切(溶剤管理が悪い・洗浄方法の間違い 等)
上記や、上記の組み合わせにより起こります。
やはり、一番の原因は、メーカーやデザイナーの企画間違いによる物です。
斬新なデザインには、思わぬ落とし穴が有る事もご承知おき下さい。
3歳に成りました?
「3歳に成りました。」
どこかで聞いたフレーズだなと思われた方は、いませんか?
その方は、正解です。
生体肝移植を受けて、3年が経ちました。
「以前の様に元気になりました」とまでは、いきませんが、毎日がリハビリのつもりで、仕事をしています。
長い目で見守ってやって下さい <(_ _)>
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収縮−其の3
前々回のシャツの収縮について書き忘れていた事です。
カッターシャツの収縮でもう一つ問題がある事はは、芯地の収縮です。
クリーニング店では、昔から、洗い上がった後、乾燥をせずに、濡れた状態でプレス作業を行います。これは、プレス後時間とともにシワが戻る(伸ばしたシワが再度浮き上がってくる)事を防ぐ為です。しかしながら、ほとんどのシャツに使用されている芯地は、この作業に対応出来ていません。
芯地メーカーでは、対応済みの芯地が開発、販売されています。しかしながら、コストアップになる事をいやがり、全然売れないそうです。(芯地メーカの方が嘆いていました)
特に、デバートのオーダーや専門店で使用されている芯地ほど安い粗悪品を使う傾向にあります。
高級品こそ良い芯地を使ってほしい物ですね!!
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収縮ー其の2
前回、シャツの収縮について書きましたが、最近、特に多いのが、ストレッチ素材の収縮です。
そうです、あの伸びたり縮んだりする素材です。
伸びたり縮んだりする素材といえば、すぐにゴムを想像できると思います。
そうです、あのゴムが繊維に織り込まれているのです。
素材表示には、ポリウレタン3% 等と表示されているのをご覧になっていると思います。
3%だから100本の糸の内の3本だから、伸びたり縮んだりしても大した事は無いと思いがちですが、この比率は、重量比なのです。
ポリウレタンの場合、3%と書いてあると、30%(100本の糸の内の30本)と頭の中で修正して下さい。
ストレッチ素材の場合は、前回説明したテンションの掛かり方が大きく、30%以上の収縮が有った事例も沢山あります。
ヨーロッパの有名ブランドのパンツ(4〜5万円)の場合、縦に伸び縮するように裁断されていた為、丈で20cm以上縮んでいるのを見た事があります。
横のストレッチの場合はきつくなっても着用を続ける事は可能ですが、縦にこれだけ縮んでは、どうでしょう?
購入時には、引っ張って確認する事をお薦めします。
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収縮
最近、苦情委員会において、収縮の事例がありました。
商品はカッターシャツ(ワイシャツ)です。
昔、カッターシャツ売り場では、シャツを買いに行くと、店員がサイズを測ってから一言「最初、洗濯すると15mm〜20mm縮みますので大きめのこのサイズをどうぞ」と云ってくれた物です。
これは、生地を作るときに、織機では、縦糸にテンションを掛け(引っ張り)交互にずらしながら横糸を入れて作ります。洋服を作るときには、この生地のテンションを元に戻してからカットして、縫製しなければ成りません。しかし、ほとんどの場合、確実に成されてはいないのです。その為、洗濯をする事で、テンションが戻り、生地本来のサイズに戻ります。その量がシャツの場合、15mm〜20mmなのです。ピッタリザイズを買っておれば着られなくなります。
最近の傾向としては、対面販売ではない店での購入が一般化されていたり、専門店などの対面販売の店でさえ、店員が説明をしなかったり(知らない[E:sad])で、消費者は、購入時点で考慮無く購入する為、今までは、常識であった事に対してクレームが起こるようになりました。特にビックリしたのは、専門店の店員ですら「クリーニングが悪い」と平気で毒づいている事です。勿論、専門店として失格ですよね!!
水で洗う場合、3〜5%は、縮むことがありますが、これが本来のザイズに戻っただけである事を覚えておいて下さい。[E:danger]
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