ウエディングドレスのシミ?



6月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例其の1です。
写真はウエディングドレスの後ろに付いたシミです。
同じようなシミが数カ所有ります。
クリーニング前には無かったとの苦情です。
手で触ると堅く盛り上がった様になっています。
どうやらキャンドルサービスか、照明効果の為に使われた蝋燭の様です。
白地に白い蝋が付いたので、お客様もクリーニング店も見落としたのでしょう。
クリーニング前に気が付いていれば案外簡単に落とせるシミなのですが・・・・

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ビトンのトートバック2

6月の兵庫県苦情審査会の事例の前に、5月の事例のビトントートバックの訂正をさせて頂きます。

検査の後、苦情委員の一人が商品を持ち帰り、染み抜きなどを試み、詳しく検証した結果、「裏張りからの色の染み出し」では無かった事が解りました。間違った情報を伝えた事をお詫び致します。<(_ _)>

クリーニング店では水洗いをしたとの申請でしたが、裏地の染色はしっかりしており、色の染み出し等も考えられませんでした。
表地の染色が染料ではなく、顔料(染めるのではなく載せている)を使っている事が解りました。
ここで、白なのに染めている?と思われた方もいらっしゃる事と思いますので、まず、そのことを.....
本来、真っ白な繊維というのは存在しません。綿や毛、絹などの天然繊維では、生成といわれるアイボリー、ナイロンやポリエステルなどの化学繊維は、少し黒っぽい色が本来の色です。これに、蛍光染料や顔料などで白く見える様に染めているのです。
顔料の場合は、油性の溶剤に溶かして繊維を染める為、油分を含んだ汚れや、油性の染み抜き剤で、剥げてムラに成ります。ドライクリーニングを行うと、顔料が完全に取れ、本来の商品とは全く違った本来の生地の色に成ってしまいます。
以前、ドライ指定で紫色の顔料染めのブラウスをドライクリーニング機に入れ、顔料が取れた為、綺麗にピンク色に成って出てきた事も有りました。

このバックの場合、油性の汚れが付いた為、洗剤により、この汚れと共に白い色の顔料が取れてしまい、斑々に成ったと考えられるのです。

洗った後で染め直しの必要がある為、それなりの費用がかかる商品の様です。高額なバックですので……

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ビトンのトートバック



5月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例3です。
写真は、ルイビトンのトートバック?です。
上の白い縦縞の部分は裏地を引っ張り出しています。
クリーニング店が安易に水洗いをした為に、裏地ではなく、表地の裏張りから色が染み出して、表面の白地が斑に茶色くなってしまいました。以前書いたビトンのマッキントッシュタイプのコートと同じ現象です。
洗う事を考えない方が良い商品の様です。
汚れた場合は、部分的な染み抜きを依頼するか、バックの専門店、もしくは専門店と取引のあるクリーニング店に依頼して下さい。一般のクリーニング店に依頼すると、専門店より遙かに安価で引き受けてくれますが、よほど慣れた店でない限り、失敗の確率が非常に高くなります。高価な商品は、クリーニング代も高い意識をお持ち下さいね

<(_ _)>

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これもプリーツです!



5月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例2です。
写真はスラックスの折り目部分です。
これもプリーツの一種です。
クリーニング後のプレスや、着用中の擦れによって折り目の山の部分が破れてしまいました。
素材表示は 毛100%となっていますが、モヘアが混紡されています。
その上、折り目がしっかりと付いており、折り目加工がされているのが分かります。
モヘアや強撚糸使いのスラックスには、シロセット加工等の折り目加工はNGなのです。
糸が堅いため折り目加工をする事により、刃の様に折り目が付き、繊維が折れ、摩擦や、加圧により、繊維の破断が生じます。
販売店が加工代の付加利益を上げるためや、販促等で、加工を勧めた物であると考えられますが、不適切であったのが原因に成っております。
夏物ウールのスラックスは、汗などによりすぐに折り目が緩くなりますが、モヘアや強撚糸使いのスラックスには、折り目加工は避けて下さい。(店員さんの誘惑に乗らず、折り目加工は断って下さいね!)

スラックスやヒダスカート等には、クリーニング店でも折り目加工の受付を行っている所が多くあります。(自店処理や外注)
この場合、二種類の加工が有る事をご存じですか?
1)シロセット加工(パーマ液に似た薬剤を使用)
2)リントラク加工(樹脂使用)

1)のシロセット加工はごく一般的なプリーツ加工ですが、
2)のリントラク加工は折り目の裏側に細くシリコン樹脂を塗る加工方法です。
リントラク加工の方が、汗や雨に強く、緩く成りにくいのですが、薄い生地の物には、表に樹脂が染み出す事が有り不適です。
素材に適した加工方法を選んで下さいね!

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またまたプリーツです!



5月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例1です。
先月に引き続きプリーツの事例が2つ有ります。
写真は ポリエステル68% 綿32%のスカトです。
プリーツ加工が緩くなっています。
ドライクリーニング後、乾燥時の熱による緩和であると考えられます。
ポリエステル100%では無い為、樹脂加工によるプリーツ加工を行っていると推測できます。
しかし、樹脂加工ですから、ドライクリーニングを行う事により樹脂が徐々に取れていった可能性も有ります。
メーカーによる指示通りドライクリーニングを行っていても防げない事故であります。
その上、綿が混紡されていますので、ウエットをしても緩和し、シワが発生するため、ウエットクリーニング後自然乾燥する事も駄目でしょう。
制作段階での企画の間違いである可能性大です。
ポリエステル100%以外でのプリーツ加工は、クリーニングするとプリーツが簡単に取れてしまう事を覚悟の上購入して下さい。

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プリーツスカート



4月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例3です。
写真は綿100%のプリーツスカートです。
新品時は、歩くたびにカサカサと音がしていたが、クリーニング後は音がしなくなったとのクレームです。?・?・?
洗濯方法はドライクリーニングですので、洗浄中の揉み作用によって糊毛が薄くなったためと考えられます。
しかし、クリーニングの為には必要な行程ですし、着用中の動きによっても同様の作用は起こっています。不回避である事と、ドライクリーニング用の糊剤をスプレーしてみることをクリーニング業者にアドバイスをしました。

皆様に知っておいて頂きたい事が有ります。
ポリエステルやウールのプリーツ加工にはある程度の保持力が有りますが、他の繊維のプリーツには保持力がほとんどありません。今回のプリーツスカートには、プリーツが永久的でないことや、再プリーツ加工が不可能なことなどのデメリット表示が付いていました。綿やシルクのプリーツ加工品をよく見かける様になりましたが、大気中の湿気でも、体から発散される汗や体温でもプリーツが取れて来る事をご理解下さい。
特に、写真の様に細かいプリーツの場合、糊剤のスプレーも、一般的な水溶性の物を使うと、吹きかけただけでもプリーツが緩くなります。
綿生地ですのでドライクリーニングでは、あまり綺麗には成りません。ウエットクリーニングも、染み抜きも不可能に近いと考えられます。
ファッショナブルな製品にはそれなりにリスクが伴う事を購入時に少しは考えて下さいね <(_ _)>

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D&Gのシャツ


兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例2です。
写真はDOLCE & GABBANA のシャツで、素材は綿100% です。薄紫色生地の赤みが無くなり水色に成っている部分が有ります。襟、カフス、前立ての一部に見られることから、機械プレス行程の最初の段階で使用する、襟+カフスプレス機でプレスした部分が変色していると推測されます。襟+カフスプレス機は生地が何重にも重ねられている部分を処理するため、他の部分に使うプレス機と比べると、温度、圧力が高く時間も長い為、生地を染めている染料が耐え切れず、熱昇華変色を起こしたと考えられます。
只、ケアラベルが、正規輸入された商品に付いている物とは明らかに違いますので、並行輸入されたものか、コピー商品では無いかと私は考えています。
原因としては、
1)染色不良で有る
2)ブランド品を安価なシャツ並に機械仕上げした
このどちらか、もしくは両方が原因でしょう。
当店でも、高級シャツは<手仕上げ>をお勧めしますがほとんどのお客様は、安価な<普通仕上げ>で良いと云われる事がほとんどです。
高級品のクリーニングはケチらず、高級(デラックス)クリーニングをご指定下さい。m(_ _)m

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ネクタイの傷



4月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例1です。
写真では解りにくいかもしれませんがネクタイに、斜めに傷が見受けられます。
傷の様に見える部分を顕微鏡で確認すると、傷の様に見える部分の糸が消失していることが確認できました。
また、数カ所に糸の引っかけも見つかりました。
そのことから、糸の引っかけを毛玉取りで処理したため、糸が毛玉取り器に巻き取られる様に引きちぎられ、抜け欠けた糸が傷の様に見える現象が起きたと考えられます。
飛び出た糸は、毛玉取り器やはさみで処理せず、生地の裏側へ、押し込む様に処理して下さいね <(_ _)>

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ロット違い?



3月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会のクレーム事例です。
写真は綿100%のパンツです。
ドライクリーニングとウエットクリーニングのWクリーニングを行っています。
パーツごとに色合いが変わっているのが解ります。
メーカーが倒産しているため、新品時の状態がどの様で有ったかは不明です。しかし、苦情品を見る限りは、デザイン的な物か、もしくは、製造時のロット不良のどちらかで有ると思われます。
ロット不良とは、生地の生産時、何百mも生産してきますので、最初と最後では、微妙に色合いが変わったりするのは良くあることです。その為、縫製時には出来るだけ近くのパーツ同士を縫い合わせます。それを間違えると、縫い合わせ部分で色合いの変化が出たり、着用&クリーニングを繰り返すことで、染色強度の違いが表面化したりします。
製造時にロット不良が表面化している場合、本来は不良品として廃棄されるのが、普通です。しかし、こういった商品を専門に修正し、一見正常品にしてしまう専門の工場も存在します。修正専門工場の一つに、私の友人が見学に行くと、超有名ブランドの製品達がいっぱいあったそうです。
修正は、所詮修正です。完璧に正常品にしている訳では有りません。その為、着用&クリーニングを繰り返すことで、修正が徐々にはがれて行き、クリーニング店でクレームになることも多々有るのです。
高級品である・高額品であるから商品ではなく、クリーニングの責任であるという思いこみをされるお客様も居られます。しかしながら特にブランド商品の値段は、「原価計算からでなく、いくらの値段を付けると一番よく売れるのか!」で決まるそうです。ヨーロッパの超高級スーツも、定価の1〜3%程度が値段の日本製の生地を使用しているとも聞いています。
高級・高額品こそ、こういった修正品の販売は止めるべきですよね!!

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兵庫県クリーニング組合苦情委員会



兵庫県クリーニング生活衛生同業組合で毎月行われている苦情委員会の風景です。
兵庫区クリーニング組合で作成するリーフレット用に撮影を依頼されたもので、ブログにも載せることにしました。

●クリーニング組合員(主にTES所有者)
●繊維検査所
●兵庫県消費生活センター
●TES会西日本
から集まっております。
欠席者もおり、一部帰った後での撮影となり、普段はあと3〜4名多い人数で協議しております。

クリーニング店を通して検査依頼を行って頂いております。
この様な検査は、兵庫県を含み4〜5都道府県でしか行われて無いのが現状です。
検査が行われていない地域にお住まいの方は、東京にある全国クリーニング生活衛生同業組合( http://www.zenkuren.or.jp/ )にお問い合わせ下さい。

ちなみに、左で簡易顕微鏡を覗いているのが私です。

これからも気になる事例などを紹介して行きますのでよろしくお願いします。

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