Yシャツの花糸喪失!

10月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例其の2です。

写真は、Yシャツのポケット部分です。柄が無くなっています。

上は、消失した花糸の先端を顕微鏡で撮影した物です。

表面と云うより、ポケットの裏側がこすれた事により花糸が摩擦切断された為、

クリーニングによる揉み作用で、糸が消失、表面の柄が無くなった物と考えられます。

素材表示が消えている為、推測になりますが、白地は綿100%で 柄糸(花糸)はレーヨン100%の様です。

生地の耐久性、製品の企画に問題のある商品に思えます。

クリーニングショップ衣料の美容室のHPもよろしくお願いします。

( http://www.sentaku8.com )

レオナルドのカットソー!

10月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例其の1です。

写真は高級ブランド「レオナルド」のカットソーです。

白抜きの部分に紺地の色移りがあります。

ドライクリーニングでの色移りから考えるところ、

1)ドライ溶剤中に水分が多すぎた?

2)着用中の汗や、雨などの水分により、色移りが生じていた?

等の原因が考えられます。

しかしながら、この「レオナルド」の商品は、元々染色が弱い製品です。

レオナルドの商品が日本に輸入され始めた当初、移染が多発し、現在TES会西日本の役員である、荻野氏がメーカーの染色工場まで視察に行かれたそうです。

メーカー曰く、「染色の美しさ、繊細さを楽しんで頂く商品です。移染が起こった場合は、メンテナンスで対応して下さい。」との事です。

Sa3b0020

上の写真は、当店で移染処理した時の処理水です。(最初の写真の物ではありません)

ビックリするほど色が出てきているのが解ります。

この後、「色止め」処理を行います。

高額な商品ですから、取り次ぎ方式の安売り店ではなく、処理に慣れたクリーニング店に依頼する事をお勧めします。

又、汗で脇の下の移染が顕著な事からも、「汗取りパット」の使用も年間を通じてご利用下さい。特に、シルク製品は、シミや汗の黄変を取ろうとすると、柄の染料が先に取れてしまうほどデリケートな染色(?)で有る事を理解した上で着用して下さいね!

クリーニングショップ衣料の美容室のHPも宜しくお願いします。

( http://www.sentaku8.com )

カーテンの脆化!

9月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例2です。

カーテンの柄が無くなっているのが確認出来ます。

写真は顕微鏡で拡大したところです。

粗い編み目が残り、中側の細い糸が消失しています。

組成表示が無く「水洗い40℃」の洗濯機マークがあります。

粗い編み目は、「ポリエステル」、消失しているのは、「レーヨン」で有ると想像出来ます。

カーテン使用中に、日に当たる部分が脆化し、クリーニングする事により、繊維が無くなったと考えられます。レーヨンは昔「人絹」と呼ばれ、染色が綺麗で、絹に似た光沢と肌触りがありますが、再生繊維(木材パルプのセルロース部分をアルカリ処理して、薬品にて溶かしたものを繊維にした)の為、大変デリケートで時間と共に脆化しやすいのです。

購入5年との事ですが、カーテン生地としては、不適切な様に思います。

クリーニングショップ衣料の美容室のHPもよろしくお願いします。

( http://www.sentaku8.com )

逆汚染?

10月に入ってしまいましたが、9月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会事例其の一です。

先月訂正をしました、「ユキコハナイのカーディガン」が、劣悪なクリーニングによる逆汚染であると書きました。

9月も同じクリーニング店からの鑑定依頼で「白いアンゴラのコート」が出ていました。依頼は、背中にある傷の様な筋に対しての依頼でした。

が、白いコートが全体に縮んでおり、しかも逆汚染で、汚い白に成っていました。

今回は、「逆汚染」について説明したいと思います。

一般的にトライクリーニングは、洗濯物を(溶剤+ドライ用洗剤)で洗います。

その汚れた溶剤は、活性炭等のフィルターを通して循環させるか、又は、蒸留され、再利用されます。

水の様に透明な状態であるのがベストですが、この状態を保つ為には、非常にコストが掛かります。

この溶剤管理を怠ると、汚れがとけ込んだ状態に成ってきます。

見た目の汚れだけでなく、phも酸性になり、臭いも溶け込んでいます。(極端に汚れのひどい溶剤が皮膚に付くと溶剤火傷になり、非常に痛い思いをします)

汚れた溶剤で洗ったり、ドライソープ(洗剤)濃度が低い状態で洗ったりすると、溶剤中の汚れが飽和状態になり、洋服から取れた汚れが、再度洋服に戻ります。

此が「逆汚染」と言われる現象です。

クリーニング店の管理状態は各々です。

全てのクリーニング店が同じでないことを理解の上、クリーニング店を選択してくださいね。

「クリーニングショップ 衣料の美容室」のHPも宜しくお願いします。

( http://www.sentaku8.com )

虫食いでは無い穴!

8月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例1です。

写真は、ニットセーターに開いた穴。

組成表示が有りません。

残念ながら顕微鏡写真を保存し忘れた為、皆さんにお見せする事が出来ません

<(_ _)>

顕微鏡を覗くと透明な糸が多く、一部の糸の先頭付近が茶色に変色していました。

透明でない糸の多くは、先頭が爆発した様なはじけた様に切れています。

この事から、化繊が多くを占めるニット構造になっており、タバコの灰等の小さな火が飛んできた為に、化繊が炭化、融解した為、強度不足になり、着用やクリーニングにより、周りの糸が引きちぎれた様に切れ、穴となったと考えられます。

只、クリーニングを行った為、炭化した部分が残って居らず、わずかに変色した先端部分が残っているだけだった為、顕微鏡での検査に大変時間が掛かりましたが、最近では珍しい事例でした。

クリーニングショップ衣料の美容室のHPも宜しくお願いします。

( http://www.sentaku8.com )

ユキコ ハナイ のカーディガン その後!

8月の兵庫県クリーニング組合苦情委員会の事例の前に、先月書き込んだ「ユキコ ハナイ」のカーディガンに付いての報告です。

メーカーに問い合わせたところ、「顔料染め」の製品ではない事が解りました。

「顔料染め」でないことから、考えられる原因は、ドライ溶剤の管理不足により、汚れた溶剤内の汚れが、商品に付着し汚れを落とすはずのドライクリーニングが、かえって汚れを付着させる 「逆汚染」となります。縁がピンクのままであり、逆汚染されていない部分が有る事が少し引っかかります???

現在、メーカに検査を依頼していますので、はっきりした原因が分かった時点で、報告します。

苦情委員会では、事故後の商品しか情報が無く、ほとんどの場合、切断しての検査や、薬品処理等、商品に手を加える事が承諾されていないのです。その為、目視や、顕微鏡等による、非破壊検査しか出来ません。

メーカーにデーターの提供を求める事が多くありますので、最終的な報告まで、2~3ヶ月を要する事もあります。

当blogでは、毎月の事例を記載しているため、時には確定前の、間違った情報を書き込む事もありますが、間違いが判明し次第、訂正を載せていきますので、よろしくお願いします。

クリーニングショップ 衣料の美容室のHPもよろしくお願いします。

( http://www.sentaku8.com )

MAELLA コートの黄変?

7月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例3です。

写真は 「 MARELLA 」 のコートです。

表地:ナイロン70% ポリエステル30% 裏地 ナイロン100% 中綿ポリエステル100%

三喜商事が輸入している逸品物(少量仕入れ)です。

クリーニング後全体的に黄色くなったとの苦情です。

クリーニング店がメーカーに直接確認を依頼した回答は、

1)初めから黄色っぽい白だった可能性がある。生地見本も、データーも無く確認不可。

2)ビニール袋に使用されている酸化防止剤が昇華して応変した。

3)残留ソープが長時間の密封状態で昇華して黄変した。

上記3種類の可能性があるが特定不可能、との返事があったそうです。

まず 2)の酸化防止剤は以前のブログを参照して頂ければ解りますが、レモンイエローの特殊な色になるのが特徴ですので、除外出来ます。

3)の残留ソープ(洗剤)による変色も、斑になるのが特徴で、色味も違いますので、除外出来ます。

残るは1)のみですが、約6万円の高額品にもかかわらず、データーが残っていないというのはひどい話です。

第4の原因として考えられるのは、ナイロンの経時劣化による黄変です。

ナイロンは、時間と共に応変していく特徴を持った繊維です。只、その時間には個体差があり2~3年で変化する物や7~10年掛かる物もあります。

今回の事例では 1)又は4)のどちらかであろうと考えられます。

以上の事から、クリーニングによる事故では無い様です。

クリーニングショップ衣料の美容室のHPも宜しくお願いします。

( http://www.sentaku8.com )

ユキコ ハナイ のカーディガン

 

7月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例2です。

写真は 「ユキコ ハナイ」のウールのカーディガンです。

見た目はピンクとベージュの2色使いに見えます。

しかし、本当は全体がピンクのカーディガンだったそうです。

これだけ一気に脱色している事から、顔料染めの為、ドライクリーニングにより、

バインダーが剥がれ赤みが無くなった為と推測しています。

只、購入から2~3年経過しているとの申請の為、今まで一度もドライクリーニングされなかったのか?、なぜ今までのドライクリーニングで脱色しなかったのか?ちょっと不思議です。

顔料染めは、ほんとに困りものです。コストが安く、発色が綺麗な為、最近増える傾向です。

一般的にメーカーは、石油系のドライクリーニングならば脱色しないと云いますが、

ほとんどは、ドライクリーニングで、確実に綺麗に脱色してしまいます。

つまり油性のシミが付いたとき、染み抜きする事すら出来ないのです。

特にニットの顔料染めは見極めが付きにくく、脱色事故は避けがたいのです。

現在メーカーに調査依頼中です。

衣料の美容室のHPも宜しくお願いします。( http://www.sentaku8.com )

マックスマーラーのボンディングコート

 

 

7月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例1です。

右写真は、マックスマーラーのボンディングコートを透かして見たところです。

まず「ボンディング」とは、薄い2枚の生地を樹脂によって貼り合わせ、1枚の生地にする加工の事を指し、「ボンディング加工」が一般的です。又、この樹脂は「ポリウレタン樹脂」が使われている事がほとんどで、「ポリウレタンのバックコーティング」に似ていますが、生地を裏返して確認しても、ポリウレタン樹脂を目視する事が出来ない為、ボンディング加工されている事を認識出来ない事がほとんどです。

購入後 5~6年が経過した商品です。

何度も紹介している様に、「ポリウレタン樹脂」を使用した生地は、生地が製造されてから3・4年が寿命です。大気中の水分や、油分等により「加水分解」されます。ちょうど輪ゴムが古くなると、伸び->ベタ付き->千切れる様に、劣化するのです。

ポリウレタンやボンディング加工の表示もなく、ポリウレタンの劣化前に、確認する事は困難な商品です。

高価な商品でも、寿命が短い製品が多くある事を、知っておいて下さいね!

衣料の美容室のHPもよろしくお願いします( http://www.sentaku8.com )

バーバーリーのスーツ

 

6月の兵庫県クリーニング組合苦情審査会の事例其の2です。

バーバーリーのスーツ 綿72% ナイロン26% ポリエステル2% トルコ製。

全体にテカリが出来、ボタンが変色しているとの苦情です。

綿にナイロンが入っていますので、着用によってテカリが出やすい素材です。

クリーニング前は汚れでテカリがスポイルされていた物が、クリーニングすることにより、表面化したと考えられます。

ボタンの変色は、ドライクリーニングの溶剤による物との疑いも有りましたが、内ポケットのボタンは全くの無傷でした。

顕微鏡写真の通り、変色ではなく、着用時の接触による、表面コートの剥離が原因です。

ボタン全体に、刻印の堀が浅く不鮮明で、ちょっと!!

ケアラベルの表は、英語の表記、裏は、中国語での表記があり、

バーバーリージャパンとの日本語の表記も後から縫いつけられていましたが、

バーバーリージャパンへの問い合わせでは正規の物では無いようです。

最近バーバリーの正規物ではない商品の苦情が非常に多い様に思います。

お気を付け下さいね!

衣料の美容室のHPもよろしくお願いします。( http://www.sentaku8.com )