ガスによる変色?



2008年最初の苦情委員会の事例です。
虫食いや、塩化ビニールの硬化等のありふれた事例ばかりでしたが、同じ原因であろうと思われる2点についての検証です。
表地は、一方は綿+ポリエステル、他方は綿+ナイロン、と少し違いますが、どちらも中綿にダウンを使用し 茶色−>グリーン 濃いグリーン−>薄いグリーン と一見 Noxガス による、変色の様に見えます。
クリーニング方法も「ドライクリーニング」をしているとの申告です。
ケアラベルには「手洗い不可 ドライクリーニング可」と成っていますので、メーカーの指定通りに行っています。
鑑定に持ち込んだクリーニング店も、「Noxガスによる保管中の変色である」との鑑定を見込んでいたのかも知れません。
しかし、一般的なNoxガスによる変色とは違い、変色が広範囲に及んでいます。
そこで、当委員会では、次の様に考えました。

ドライクリーニングの乾燥が不十分で有った為、保管時におけるドライクリーニング溶剤の気化に伴うガスによる変色である。 と

取次店方式の大工場では、クリーニング完了後、直ぐに包装し受け付け店に戻します。そして、お渡し時には、「袋から出して保管して下さい」と説明を付け加えます。此は、今回の様な事故を考え、回避する方便でも有ろうと思っております。本来、包装は完全に乾燥させてから行う物なのですが、「朝出して夜お渡し」をうたい文句にしている店では、完全に乾燥させる時間が無いはずです。
以前当店のお客様から「クリーニングから返った物は、クリーニングの臭いがするので、袋から出して一晩干してから仕舞っていた。当店の商品は、臭わないね!」と云われた事があり、「当店では、乾燥にたっぷり時間を掛けているので、その分、お渡しまでの時間を多く頂いています。」と説明します。乾燥不足の商品は、溶剤火傷や中毒を起こすなど、人身に関わる事故原因にも成ります。クリーニングから返った商品に、溶剤の臭いが残っていたら、必ず袋から出し、臭いが無くなるまでしっかり干してから着用する様にして下さい。
今回、この2点をクリーニングした2店とも表示通りの「ドライクリーニング処理」を行っていますが、素材を考えると「ウエットクリーニング」が最適だと私は考えます。
メーカーのケアラベルは、クレーム対策や担当者の不勉強により、本来ベストなクリーニング方法が選択されていない事が多々あります。当店では、素材や汚れに対して最適なクリーニング方法を洗濯(選択)して居りますので、ケアラベルとは違った方法で処理する事が多いことをご理解頂きたいと思います。

衣料の美容室のHPも宜しく( http://www.sentaku8.com )