色移り!

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溶けそうなほどの暑い日が続きますね(^_^;)
暑さに負けず、ご自愛下さい。
さて、今月の苦情委員会の変わった事例を一つ。
写真は、ビトンのバックです。この写真では解りませんが、白い部分にうっすらと赤く色移りがしています。
此は、クリーニングに出したばかりの黒いアルマーニの綿パンと擦れたのが原因です。パンツの一部も赤くなっていた為、クリーニングにより赤い染料がパンツに移り、それがバックに付いたのでは?と云う苦情です。
黒い色が移ったのでしたら、お客様も案外納得出来るのかも知れませんね!しかし、なぜ赤色が移ったのでしょう?
パンツが赤く汚れていた為ではありません。
昔、小学校の美術の授業で習った事を思い出して下さい。元々黒色の染料は無いのです。赤色と青色の染料を混ぜて黒色の染料が出来ています。
黒のパンツと白いバックが擦れる事によって、赤色の染料のみが移染したのです。

一つ覚えていて下さい。
この赤く移染したバックを綺麗にするのは、可能です。
しかし、絶対にしてはならない事があります。
濡れたオシボリや、洗剤を付けて拭いたりする事です。
移染した染料に水が反応する事で、色が定着して染まってしまう為、修復がより困難になります。
速やかに、信用のおけるお店に依頼するのがベストです。


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偽装?

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巷では、牛肉や、豚まん、薬 エレベーター等、色々な偽装が話題になっていますね(>_<)
先日、お客様との会話の中で出た、クリーニングにおける偽装の話です。
1)DXクリーニング疑惑
此は、もっとも一般的な偽装で、DX料金を取りながら、ハンガーや袋を良い物に変えるだけで、特別な事な何もしていない。(時折内部告発で表面化しています。)
2)染み抜き疑惑
染み抜きは一切して無いにもかかわらず、「プロが染み抜きしましたが取れませんでした」と云った説明をする。
此も良くある事例ですが、悪質なのは、シミの部分を高温のアイロンを掛け、次に染み抜きの上手な店に持って行かれても取れない様にする店が有ります。
3)洗って無い疑惑
セールで大量に集めた為処理しきれず、汚れが目立たない商品は、乾燥とプレスだけで納める。(毛布や、毛皮等で)
4)汗抜き疑惑
汗抜きクリーニングと称してオプション料金を取りながら、ドライクリーニングで多少水分を多めに取れる材料を使い、サラリとした風合いを出すシリコンなどで偽装している。
(ブラックライトなどで検査すると汗が取れていないのがハッキリ解ります。来シーズンに着ようとしたらシミや変色になっていた等クレームが多く見受けられます。)

等々クリーニングにおける品質偽装は、困った事ですが常に存在します。
先日もあるTV局が、背広の水洗いを依頼するのに、裏地をはずし、中にティッシュペーパーを忍ばせて実際に水洗がなされているかを検証していましたが、3店舗すべての店で不合格でした。特に1店舗(水洗専門の無店舗宅配専門店−背広上下¥3.600−)では、(3)のクリーニングすら行われて無い様な結果でした。残りは、(4)の様です。

普段着に於いても、正しい店を選んで、賢い消費者になって下さいね<(_ _)>


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土用干し?

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今日は土用の丑の日ですね。
私は最近知ったのですが、土用干しと云う言葉がある事をご存知でしたか?
近年では、梅干しを作る際に使う事の方が多いようですが、着物の虫干しにも使われます。
ジメジメとした梅雨の間に、たっぷりと吸った湿度を、土用干しでスッキリさせるのだそうです。
昔の人は、7月下旬から8月上旬にかけて、湿度の低くなる日が何日か有る事を知っていたのですね!
ここ数年、「カビが出来たので取ってほしい!」と云う依頼が非常に多くあります。マンションなどの機密性の強い場での保管が増えているせいでしょうか?
カビには、沢山の種類があり、生地との組み合わせにより取れる物と取れない物があります。又、見た目綺麗に取れた様でも、繊維の奥の奥まで張り巡らされた根により、生地が損傷している場合もあり、お気に入りの衣料品の寿命を縮める事になります。
早めに対処する為にも点検をして下さい。
土用干し(虫干し)も、難しく考えずに、ネットの予報などを参考に湿度の低い日時を確認し、タンスの扉や引き出しを開けて、扇風機で湿気を吹き飛ばすだけでも効果があります。お試し下さいね!

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硬くなったコート!

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先日、「マックスマーラのキャメルコートを取次店方式の店舗に出したら、風合いが硬くなったので、そのことを伝えて近隣のクリーニング店に持って行ったら、すべての店で断られてしまった。何とかならないか?」との問い合わせが有りました。
「試してみないと解らない!」としか返事が出来なかったのですが、遠くから電車を乗り継ぎ持って来て頂けました。
本来肌触りの柔らかな、キャメルのコートが、普通のウールコートの様な風合いに硬くなっていました。
原因は、乾燥時の熱が高すぎたか、パークロルエチレンなどの強い溶剤で洗浄した為に油分が抜けすぎたのかどちらかであろうと思われます。
そこで、当店独自の濯ぎの有るオレンジドライにて洗浄後、ドライクリーニング専用のミンク風柔軟加工材を多めに使用した濯ぎ液にて再度加工、自然乾燥、仕上げの後、全体を丁寧にブラッシングをして毛並みを整えました。
遠くからわざわざ電車を乗り継ぎお持ち頂いた商品ですので、あまり自信は無かったのですが、頑張った甲斐あり、キャメルらしい風合いに近づいたのではないかと思います。
取りに来られたお客様には、直接会って感想を聞く事が出来ませんでしたが、家内の印象では、喜んで頂けた様でした。
(^_^)v

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洋服も日焼けするのです!

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久々の書き込みですm(_ _)m
最近 目新しい苦情が無く、書き込みに困っていました。
先日の苦情委員会でもコンスタントに出ていたのが、綿や麻、ナイロンの汗と日光による変色、及び、綿や麻の摩擦による変色(白化)です。
写真は汗の付着による、「汗+日光」による物です。が、汗が直接付いたのでは無く、手を使う事により、手の汗が付着して変色した所などは、人により理解し難い事のようで、鑑定書を読んで「汗をかく場所では無いのにおかしい!」と再度苦情が来る事もあります。
又、濃色の製品は数時間の日光でも大きく変色する事もあり、以前、スポーツウエアーの関連会社の所長様が紺色のゴルフウェアーをお持ちの際に説明すると、「メーカーの社長とゴルフで数時間回っただけの新品なのに!抗議しないといけないな!」などと云って驚いておられた事もありました。
又、ショップでの陳列の際に日焼けしている事も多々あります。
此は、染色堅牢度や汗耐光染色堅牢度に問題が有る製品なのですが、進行度の違いは有れども変色があって当然の、繊維の特性で有るとも云えます。
そして、摩擦による白化も着用中に起きて当然の事柄です。
が、クリーニング前には、気付かず、クリーニング後に問題になる事が多いのです。
これは、クリーニングに出す前の衣類は、大気中に浮遊している油煙や皮脂油を表面に吸着させているので、全体に濃色化しており、クリーニングすると全体を覆った油汚れが除去される事から、目立ちやすくなる傾向があり、又、劣化した染料やはげた染料が、洗い落とさる為でも有ると云えます。
すべての衣料は、常に劣化しており、寿命がある事を再認識して下さい。
m(_ _)m

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金属繊維!!

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あまり聞き慣れない名前の繊維だと思いますが、2年前位から再販され始め、最近ではボチボチと見かける様に成って来ました。再販と書いたのは、十年近く前だったと思いますが、一時出回っていましたが、問題点が多く自然消滅した過去があるからです。
その問題点は、
1)金属を糸の様に細くし、繊維の中に織り込んでいるのですが、繊維の様なしなやかさは無く、すぐに折れて繊維の中に針を刺している様に、肌にチクチクと刺さる様な肌刺激が有る。
2)製造された時点では、普通の繊維の様に綺麗なのですが、着用やクリーニングにより出来たシワがアイロンを掛けても伸びない。
3)汗や、雨、保管中の湿気等で錆びる。(写真例)
等です。
洋服に使うには、不適切な繊維ですが、物珍しさのために、繊維を細くするなどの改良が加えられ、数年前に、高島屋で販売が再開されました。
販売前に、アパレルやクリーニングのTES会員で行われる研究会で高島屋の企画担当者より発表されたのですが、大手アパレルメーカーもクリーニング関係者も不適切であるとの見解でした。
特に、クリーニング組合や、白洋舎の担当者が、一切受け付けない事を通知しており、販売してもメンテナンスに問題が有ることを承知の上での見切り発車でした。
先日も、当店に金属繊維のセーターをお持ちのお客様に説明をしたのですが、「詐欺に遭ったみたいだ!!」と嘆いておられました。
レーヨンニットのTシャツやポリウレタン等、メンテナンスや耐久性に問題のある商品説明の折りに、良くお客様が「詐欺みたい!」という言葉を使われますが、その通りだと思います。PL法が問題になる昨今、衣料品には、適用されておらず、売り逃げが当然に成っているのですから[E:coldsweats02][E:coldsweats02]
ケアラベルにmetal(金属繊維)や INOX(ステンレス繊維)等の表示が有るはずですので、この表示を見たら心の中で「詐欺師」と叫びながら買わない様にして下さいね。
m(_ _)m
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困ったお店の話

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先日の苦情委員会に持ち込まれた事例です。
「十数枚の綿ポロシャツをクリーニングに出し、クリーニング前にはなかったシミや、襟のラベルが脱色して返ってきた。」と言う内容の苦情でした。
其の内の4点が特にひどいという事で現品が持ち込まれていました。
内1点は、食べこぼしのシミでしたので、お客様が付けたシミが取れていなかったのは、一目瞭然でした。 が、
他の3点をよく見ると、確かに襟のラベルが白っぽくなっているのが確認出来、さらに拡大鏡で観察すると結晶状の物質が付着しているのが確認出来ました。その上、ブラックライトを照射してみると、襟を含め広い範囲で発光が認められました。
この事から、「ラベルの脱色」は、汗が結晶化した物であると確認出来ます。
つまり、この店では、汗を拭くんだ綿のポロシャツを、水処理ではなく、汗は取る事が出来ない、「ドライクリーニング」処理を行っていたと推測されます。

まさか洗わずにアイロンをかけた?
このお店は、神戸の西北を拠点としている大規模な取次店方式のお店で、当店の数百倍、それ以上に大きな売り上げを誇っているお店なのです。
この様なとんでもない店が存在するのも事実で、クリーニング業の信用が薄く成って行くのでしょうか?
商品を大量に安く仕入れ、安く売る事が出来る業種ではなく、
クリーニング店は、技術を売っているのです。
大半のお店は、きちっとした仕事をしているのですから、決して安いだけで店舗を選ばず、しっかりした技術を売っている店を選んで下さい。m(_ _)m

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ヨーロッパ的?

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先日見た事例です。
アルマーニ (ウール95% ポリウレタン5%)紳士物のスーツです。
以前にも紹介しましたが、ポリウレタンは、樹脂繊維が製造されてから3〜5年が寿命です。取り扱いや、保管状況では1年程度でも劣化してしまいます。
この樹脂が5%も入っていますから、ニットのように柔らかく柔軟に伸び縮み(縦横)します。
お洒落にダラリと着こなすソフトスーツでは有りますが、クリーニングにより、伸び伸びで、ヨレヨレに成って居ました。
此は普通のスーツの様にドライクリーニングを行い、タンプラー(回転式)乾燥機を使用した為で有ろうと思われます。
デリケートな衣料品は、知識が有り、かつ 取り扱いに慣れたお店に依頼しましょう。
只、どんなに丁寧に扱っても、数年で寿命を迎える事は承知で購入して下さい。

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フランスとイギリスは違う?

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先日のウール専門家の話の続です。
衣料品に対する国別の縫製に関する考え方の違いを述べて居られました。
日本はイギリスと同じで、本来 着物等は古くなると一旦解いて洗い張りをし、反物の状態に戻し、再度縫製をし、3代くらいまでは繰り返し使って来ました。イギリスでも、襟だけを換えて見たり、ハリスツイードの様に、古くなった洋服から糸を作り出し、織り上げて再生している物や、かたくずれし難い、しっかりとした縫製をしている物が主流でした。バーバリーのコート等は、一生物と云われた物でした。
反対に、フランスでは、お洒落にデザイン重視の作りで、クリーニングを考えず、着潰して終わりの感覚です。韓国もフランスに似た物作りだそうです。
お国柄がハッキリしていてナルホドと感心させられました。


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水で洗えるウール

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昨日、兵庫県クリーニング組合の主催するセミナーに参加してきました。
繊維メーカーのOBで、ウールの専門家の方を迎えての物でした。
最近は、「水洗い可」のウール製品が増えてきましたが、こういった商品の多くが、樹脂で加工した物や、ウール特有のキューティクルを薬剤で溶かした物で有るという話の中で、気になる話をしていました。
それは、これら(ウォッシャブルウール)には、ウール特有の(湿気を蓄え、放出するという機能が無いのだ)と言うのです。この独特の機能がある為、登山や探検などの過酷な環境下が想定出来る場合は、ウール製品が身を守ってくれると云われています。
又、この樹脂加工は、ドライクリーニングにより剥がれ落ち、一度ドライクリーニングした後は水洗い出来なくなるそうです。多くの(ウォッシャブルウール)製品には、弱洗濯機のマークとドライクリーニングマークの両方が表示されていますが、此には問題点が多く、常にどちらか一方のクリーニング方法を採らなければならないのです。
「わざわざ(ウォッシャブルウール)のセーターを買うのであれば、元々水洗いの可能な安価なアクリルのセーターを買う方が良い。」と云う事でした。

それともう一つは、ウールは、温度に対してナイーブなのですが、ほとんどのクリーニング工場では、ウールニットのセーターも乾燥機を使用しています。此によりウール独特の、かさ高さ、風合いや手触りが台無しに成っていると嘆いておられました。
ご安心下さい、当店では創業以来、デリケートな衣料はすべて自然乾燥しています。

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